林
まずは、IGCSが求められる背景や市場ニーズについて話しておこうと思います。いま国内のみならず、世界的に再生可能エネルギーの導入拡大やカーボンニュートラルの実現に向け、分散型エネルギーシステムの導入が急速に進んでいます。この大きな変化のなかで、私たちが向き合うお客さまのニーズも、より高度で多様なものになってきています。
例えば、電気を使う「需要家」のお客さまであれば、エネルギー料金の削減やCO₂排出量のカットはもちろん、災害時のBCP対策(停電時の自立運転)といった切実な課題が存在しています。
一方で、電気を作る「発電事業者」のお客さまは、系統用蓄電池や再生可能エネルギーなどを、電力系統や市場の状況に合わせて確実に制御・監視することが求められています。加えて、毎年のようにルールが変わる複雑な電力取引市場のなかで、いかに高い収益を生む運用を実現するかというビジネスに直結する課題に直面しています。IGCSは、まさにその両者の課題を同時に解決し、双方に最大の価値をもたらすことができるシステムと言えます。
橋本
お客さまからのご相談内容はここ数年で大きく変わってきました。1つは、電力取引市場への対応です。卸電力市場や需給調整市場、容量市場など、さまざまな市場へ対応するためには、蓄電池などの分散型エネルギーを高精度に制御する技術が欠かせません。そのため、「市場へ参加したいが、どのように制御すればよいのか」というご相談を数多くいただいています。もう1つは、自治体マイクログリッドです。地域の脱炭素推進の取り組みが広がる中、「計画段階から一緒に検討してほしい」「導入・運用まで伴走してほしい」といったご相談も増えています。
林
制度面でも大きな変化が続いています。例えば、電力市場価格に応じて電気料金が変動する市場連動型プランなどの選択肢が広がり、電気を使う時間帯や分散型エネルギーの運用タイミングが、コスト削減に直結しやすくなっており、電気料金が安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電するといった運用も現実的になっています。また、需給調整市場における機器個別計測の導入に向けた制度整備も進んでおり、分散型エネルギーを市場取引に活用しやすい環境も整いつつあります。さらに、データセンターの急増による電力需要の拡大や、情報セキュリティへの要求の高まりなど、お客さまを取り巻く環境はますます複雑になっています。
草野
システム開発側から見ても、こうした市場の変化によって、システムに求められる役割は大きく広がっています。お客さまごとに設備構成や運用条件が異なるため、同じシステムをそのまま適用できるケースはほとんどありません。そこで私たちは、蓄電池をはじめとする複数の設備を統合的に制御し、それぞれの運用条件に合わせて最適なエネルギーマネジメントを実現できるよう、個別に設計しています。
橋本
最近は、デマンドレスポンス(DR)に関するご相談も増えています。なかでも、電気自動車(EV)を新たなエネルギーリソースとして活用する取り組みが注目されています。企業では、社用車として導入したEVが、日中は駐車場で待機しているケースが多くあります。DRは、その遊休時間を活用して電力需給の調整に参加し、新たな価値を生み出そうというものです。EVの普及が進むにつれ、「止まっているEVをエネルギーリソースとして活用したい」というニーズは、今後さらに広がっていくと考えています。