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エネルギーと社会インフラを支えるソリューションの提供を通してCSRを深化。SDGsの達成と持続可能な社会の実現に貢献します。

世界中がパンデミックで揺れた2020年度。社会機能の維持への貢献という責任を担う日立パワーソリューションズは、事業を通して社会とつながり、この重責を果たしてまいります。

取締役社長 安藤 次男

SDGs達成への貢献を目標に掲げ、CSR活動を推進

当社の企業活動は、お客さまや地域社会の皆さま、従業員と、実に多くのステークホルダーに支えられています。企業は利益を追求するだけでなく、支えてくださる人々が豊かで暮らしやすいと感じる社会へと発展させていく責任があり、その責任を果たすための活動の一つがCSR(Corporate Social Responsibility)活動です。このCSR活動に加え、国際連合で採択された持続可能な開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)達成への貢献や、非財務情報であるESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)への取り組み度合いが、近年、企業評価に取り入れられるようになってきたことから、企業価値を向上させるためには、社会や環境への影響を意識した経営戦略が必要不可欠となっています。
電力・エネルギーや上下水道、鉄道、通信、産業など、エネルギー・インフラ関連分野のサービスやソリューションの提供を中核事業としている当社の経営も、これらをより強く意識していかなくてはなりません。
2020年度を振り返ると、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大によって、あらゆる企業の活動に影響が及びましたが、社会機能を維持させるという責任を担う当社は、その責任を全うすべく、従業員一丸となり、全力で取り組んだ1年となりました。
このような中、2020年末には、日本政府から「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が示されました。これは、当社に与えられた大きな使命と捉えています。これまで以上にエネルギーや社会インフラ分野に提供するサービスやソリューションを高度化することで、環境負荷低減によるカーボンニュートラルの実現や社会インフラの安定稼働、これらを通した社会機能の維持、SDGsの達成と持続可能な社会の実現、そして多くの人々のQoL(Quality of Life)の向上への貢献を推進してまいります。

事業を通したCSR活動の深化とは

当社は、株式会社 日立製作所の2021中期経営計画を、日立グループの一員としてともに達成すべく、「ゼロカーボン社会の実現と、エネルギーの安定供給・社会インフラの安定稼働にサービス&ソリューションで貢献」をビジョンに掲げ、サービスソリューション事業、再生可能エネルギーソリューション事業およびプロダクトソリューション事業を推進しています。先進のデジタル技術を活用した高度・高付加価値サービス、脱炭素化や社会のレジリエンス*強化に貢献するソリューションでお客さま事業の価値向上に貢献する、これらの3事業についてご説明します。

一つ目は、サービスソリューションです。高い信頼性と安全性が求められるエネルギーや社会インフラ分野における当社の強みに、これまで蓄積してきた制御・運用技術と設備保守のノウハウがあります。これに先進のデジタル技術を活用し、サービスの高度化・高付加価値化に取り組んでいます。特に設備の稼働データ分析によるトラブルの未然防止、地震や水害などの災害発生時に事業継続を妨げるリスクの最小化と早期復旧を支援するサービス、ソリューションの提供で、お客さま事業のレジリエンス強化に貢献していきたいと考えています。

二つ目は、再生可能エネルギーソリューションです。
当社は、風力や太陽光、バイオマスといった再生可能エネルギーを活用した分散電源システム、さまざまな電源と蓄電池、エネルギーマネジメントシステムを組み合わせてエネルギーの地産地消を実現する地域エネルギー供給ソリューションを提供しています。これらの事業で積み重ねてきた実績を礎とした技術とノウハウをコアに、「脱炭素化」「電力レジリエンス強化」といった価値を提供するエネルギー供給型ソリューションの開発に、お客さまとの協創で積極的に取り組み、エネルギーの安定供給と地域の活性化に貢献してまいります。

三つ目は、プロダクトソリューションです。
当社では、電気自動車やハイブリッド車などに使用される二次電池の製造設備、半導体など電子部品の検査で使われる超音波映像装置、電子部品用セラミックス、工業用マグネトロンなどの開発・製造を行っています。国内で豊富な実績を有するこれらの製品をグローバル市場へ送り出し、高い信頼性が求められる社会インフラ設備を世界中で下支えすることで、社会的な付加価値を提供してまいります。

私たちは、社会機能の維持やSDGsの達成と持続可能な社会の実現、多くの人々のQoLの向上といった使命を果たすため、これまで以上に3事業を縦横に連携させることで、CSR活動の深化に努めてまいります。

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社会のレジリエンス:さまざまな課題、困難に対して、しなやかな回復力を育み、持続可能性を高めていこうとする社会。

従業員の心身の健康こそ事業成長の礎

多様な人財が生き生きと活躍できる職場を実現することは、企業の成長に不可欠な経営課題です。この課題解決の鍵は従業員の心身の健康であるという考えから、当社は経営の基本方針に「安全と健康を全てに優先させること」を掲げ、さまざまな取り組みを展開しています。具体的な取り組みを挙げると、まず安全に関する取り組みです。「自分の安全は自分で守る」「仲間の安全をお互いに守る」という相互啓発型の安全文化への変革に向け、経営層を含む全社安全衛生委員会と各事業所の安全衛生委員会の二つの体制による無災害職場づくりに取り組んでいます。
次に衛生に関する取り組みです。2020年のCOVID-19の拡大や近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進化によって、従業員の働き方が大きく変化しています。在宅勤務に代表される従来とは異なる就業環境でも心身のバランスを崩さぬよう、産業衛生や安全衛生の専門スタッフによる面談を実施するなど、メンタルヘルスケアを強化しています。
最後に働き方改革です。2020年度はCOVID-19拡大の影響から見えた課題を踏まえ、新常態検討プロジェクトを立ち上げ、「業務プロセス改革」「働き方改革」などを包含した検討を開始しています。
これらの取り組みも評価され、「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に今年度も認定されました。今後も、従業員とそのご家族が安全かつ健康で心豊かな生活を送るための施策に、積極的に取り組んでまいります。

変革をチャンスに、さらなる成長を

私たちは今、急速な都市化、人口構造の変化、気候変動など大きな社会課題に直面しています。これらの課題を解決するために取り組み、創出する変革を、私たちにとっての新たなチャンスと捉えています。2021年度の運営方針に「変革をチャンスに、さらなる成長を」を掲げ、持続的成長戦略の策定・実行と競争力の強化をさらに進めてまいります。

当社が提供するデジタル技術を用いた高度なサービスによって、エネルギーや社会インフラを支えるとともに、保守の現場から得た豊富なOT(Operational Technology)を持つという強みを生かし、お客さまや社会のニーズを起点としたソリューションを提供してまいります。さらに、株式会社 日立製作所が進める社会イノベーション事業をグローバルな視点でより深く検討し、社会変化によるニーズを敏感に察知した事業計画を中長期的に推進してまいります。そして、中長期の経営戦略とCSR活動の融合を図り、事業計画の実効性を高めてまいります。繰り返しになりますが、変革のときこそ成長のチャンスです。「和・誠・開拓者精神」という日立創業の精神の下、全社一丸となって社会と企業の持続的成長をめざしてまいります。