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社会・産業/超音波映像装置・検査装置

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超音波とは・・

人間が聞こえる音(可聴音)の周波数は、通常20Hzから20,000Hzの範囲で、可聴音を超える高い振動数の弾性振動波(音波)のことを「超音波」と呼びます。 超音波は指向性が高いことから、反射した音波の情報をもとに、自然界ではこうもりが暗闇の中を飛ぶ際の障害物を探知したり、 イルカや鯨が海中の障害物や餌となる魚の探知に利用しています。動物のこのような能力を「エコーロケーション(echolocation:反響定位) 」と呼びます。
人間はこれをまねて海中で潜水艦を見つけるソナーを発明し、今ではそれを応用した非破壊検査のほか、医療診断、魚群探知、厚さ測定などさまざまな分野で利用しています。

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周波数と透過力、分解能の関係

超音波検査では、水などの液体を媒体にして固体物質へ超音波を伝搬させ、内部から反射源となるボイド、剥離、クラックの欠陥などによる反射信号(エコー)を計測します。
超音波は物質内を伝わる透過力と分解能が周波数に対して相反する関係にあり、低めの超音波は深いところまで届いて反射音が返ってきますが、微小なことが解りません。
逆に、高めの超音波は微小なことが解りますが、深いところまでは届きません。
そのため、検査対象に合わせて適切な周波数の選定が重要となります。

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超音波の反射

音波は伝わっていく途中で徐々に減衰しますが、途中に材料特性(音響インピーダンス)が急に変わる境界があると一部が反射して逆方向に伝わります。 この反射して戻ってきた音(反射波)の有無や強弱を捉えて伝播経路途中の材料の境界、剥離、ボイド等を検出します。

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 境界面で反射する強さ(反射率)は、入射側材料の音響インピーダンスと透過側材料のインピーダンスの特性値を使用して、次の計算式で表すことができます。
 またインピーダンスの値は、材料の密度と音速で決まります。

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超音波で画像化する

まず、特定の位置で細く絞った超音波を対象物に当て、反射してきた超音波(エコー)の強度を測定します。次に特定の位置に対応する画像上の点の明るさを反射強度に応じた濃淡の諧調で表示させます。
この操作を少しずつ位置をずらしながら次々に行なうことで、材料内部の性質の分布を画像として表示します。

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実際の超音波映像と剥離検出能力

 音波は物質が連続している部分はゆっくり減衰しながら伝わりますが、空隙などでつながっていないところでは伝わることができずに境界面で大部分が反射します。 そのため、非常に薄い空隙(つながっていない領域)でも検出できる能力を持っています。これまでの例では厚さ5nmの隙間も明確に検出できることが確認されています。

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実際の検査装置の動作

細く絞った超音波を検査対象に向けて発信し、返って来た反射波を受信するため、プローブ(探触子)と呼ばれるデバイスを用います。 プローブを面内の任意の位置に高位置精度で移動させるためのスキャナと言われる機構に取り付け、特定の位置でパルス状の超音波を発信/受信し、 得られた受信信号をデジタル信号に変換して画像処理装置で計算して画像に濃淡の点を表示します。
画像 所定のエリア内を走査しながら上記処理を繰返し、画面を濃淡の点で埋めることで、反射音の強弱の分布を表す画像が得られます。 この画像を基に内部の様子を判断しますが、FineSATでは解析ソフトウエアを使って欠陥部分等の自動判定を行なうことができます。

 

2軸スキャナ  

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超音波の送信と受信を繰返しながら走査

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測定画像
(反射超音波強度画像)

超音波ビームの収束

一般に走査型顕微鏡では高精細な画像作成(=分解能の向上)のために、走査するビームを細くすることが必要です。 走査型顕微鏡の代表である電子顕微鏡では分解能の向上のために電子ビームを細く絞ることが長年の開発課題です。
同様に、超音波映像装置でも高精細な画像を得るためには超音波ビームを収束させて細くする必要があります。

電子顕微鏡では電子ビームを収束させるために電磁石を使います。しかし、超音波を収束させるためには光学顕微鏡のようなレンズ(音響レンズ)を使うか、 あるいは超音波を発信する振動素子を球面状にするなどの方法で、球面形状の超音波を形成します。
また、ビーム径の下限は下の式のように超音波の周波数とレンズ形状に依存し、高周波になるほど細く収束できます。

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超音波ビームの径による分解能の違い

 実際のビーム径が画像に及ぼす影響を下の写真で示します。同じ解像度確認パターンの観察結果でも、ビーム径70µmではいずれのパターンもぼやけて、 近接パターンではパターンを分離することも困難です。これに対してビーム径8µmの場合、理想的な条件下では10µmピッチで並ぶパターンを独立パターンとして 認識できることもあります。

貼り合せSiウェハ間の溝、穴の観察例

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超音波とX線の違い(1)

対象物の内部が見えるという点で超音波検査とX線検査は似ていますが、2つの方法には以下のような違いがあります。

  • 超音波検査は音波の伝播経路の性質や距離の違いを見ているため、 経路上の材質や密度の違い、内部の連続性がわかります。
  • X線検査は透過経路でのX線の吸収量の違いを見ているので、部品形状の観察は得意ですが、部品間が接していても多少離れていても違いが現れません。

半導体パッケージの観察結果の比較

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∗ X線では見えない剥離、 割れ目、空隙が超音波で検出できます。

超音波とX線の違い(2)

 観察法によって得意・不得意が違いますので、適する手法を選択することが重要です。超音波は、剥離・クラックの検出には適切な手法です。

CT:Computed Tomograph
  超音波 X線 X線CT
剥離 ×
ボイド(厚みあり)
クラック △〜×
ワイヤ観察ほか △〜○
薄い試料
厚い試料 △〜×

フェイズドアレイ(段階的に並べた音波)の原理

複数の小さな振動子を並べたアレイプローブを使い、個々の振動子の発信のタイミングを制御することで、少しずつずれた複数の超音波の波面を作り、この波面間の干渉による合成波面で収束ビームを作ります。 受信も複数の振動子で行ないますが、個々の振動子の反射源からの距離の違いを打ち消すような信号処理を行なうことで、単一の振動子と同様の画像を得ることができます。

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電子走査(電子スキャン)方式の原理

フェイズドアレイ技術の応用として、アレイプローブの一部の振動子で収束超音波ビームを発生させ、反射音を受信する動作を、振動子を順次シフトしながら繰り返すことで、 プローブ自体を動かすことなく焦点を移動させることが可能となります。
この方法は電気的なスイッチングだけでビームをプローブの長手方向に走査させるために「電子走査」方式と呼ばれ、 電子走査を高速で行いながらアレイプローブをビームシフト方向に直交する方向へ移動させることで、焦点の走査幅に相当する帯状のエリアを観察することができます。
シングルプローブに比べて短時間で映像が得られる上、プローブの機械的な動きはそれほど早くする必要がないので、超音波の伝播媒質である水に対して発生する問題点である泡の巻き込みや波立ち等の画像劣化の原因となる現象が少ないのが特徴です。

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